マジカルマスター☆セイヤ番外編






なぁ、いくら番外編だからって無理があるだろ。
それとも、番外編ってのは何やっても良いのか?

住宅街を少しばかり出て、静かで緑が綺麗な道を歩きながら同じ事ばかり考えこんでいた。

「せーんぱいっ。眉間にしわが寄ってますよ。」
「…・・寄るだろ、そりゃ…。」

俺と同様に買い物袋を両手に提げて、俺とは違ってどこか愉しげな一大橋ひとつおおはし

「いくら番外編でも、やって良い事とするとおかしい事があるだろ。」
「それを楽しむのが番外編ですよ。」
「…本編でやっと会話した俺達が仲良くクリスマスを過ごそうって言うのに無理がなぁ…!」
「さ、きびきび歩いて!先輩。」
スルーか、ていうか押すな!おい!
「…それにしてもな。」
「はい?」
「今日はまだイブだろ。なんで今日から。」
「今日から祝わないと駄目なんですよ。諸事情により。」
「…なんだ諸事情って。」
「ヒミツですっ。」
・・…準備だな…。買い物の中身から言って間違いなく。
俺と一大橋の荷物を順に見てはため息が出る。

これから  何  故  か  二  人  で  クリスマス。
いくら一大橋が端整な顔立ちだからと言っても、俺の心は潤わない。
その場が華やぐくらいは認めるが、断じて俺の心は華やがない。

だって、こいつは男だもん。

「まあ、親と過ごすよりは友達と過ごす方がいいか。」
そっちの方が彼女のいない空しさを幾分か和らげてくれる気がする。
親と過ごしたら、友達までいないみたいで泣きたくなるからな。

友達といえば、あいつら。今年に限って恋人作りやがって。
ん、そういえば。

「なぁ、一大橋。クリスマスなんだから他の奴に誘われただろ?」
「ええ、誘われました。でも、全部断りましたよ。」
「…良いのか?」
「良いんですよ。僕は先輩と過ごしたいので。」
さらっと気持ち悪い事を言うな。
いくら一大橋がそこらへんの奴らよりは綺麗だからってなぁ(以下略。

「お前って変な奴だよな。」
「そんな事ないですよ。」
「俺と過ごしたいって言う時点で変だ。」
そういうと、まあなんと可愛らしい笑顔を向けてきた。
これで皆騙される訳だな。俺は騙されない!
「先輩は自身の魅力に気付いてないだけです。でも、そこがまた良いんですけどね。」
「…なぁ、俺帰って良いか?」
なんか寒気がしたんだ。
これきっとヤバイ病気だから。
俺じゃなくても、もしかしたら一大橋がヤバイ気がするから、いやもうそんな事はどうでも良い。
ちょっと距離を置いても良いか?

「もう、家に着きますよー。」
あ、本当だ。なんか良い感じの一軒家が見える。
遅かったか…!


「…お邪魔します。」
「どうぞ、先輩っ。」

他人の家に初めて上がるのは緊張する。俺だけか?
一先ずリビングに案内されたが良いが、誰もいない事が気になってしょうがない。
これくらいは聞いても失礼は無いよな。
「親とかはどうした?」
「実家です。」
「あ?この家は?」
「この家は協会が臨時で作って、貸し与えてくれたものです。」
「協会…?なんの」
「あー先輩ストップー!それ以上は、本編のネタバレになっちゃいますから言えませんっ♪」

…・・ああ、そうかよ!!

「一人暮らしなんだな。大変じゃないか。」
「大丈夫ですよ。基本的な事は全て魔法でやっちゃいますから。」
「…マジか?」
「この家自体が魔法で出来てますから、そういう魔法は標準装備なんです。」
「便利だなぁ…。」
俺にも使えないかな、そういう魔法。
母親が勝手に掃除してめちゃくちゃにしちまった部屋も、すぐに片付きそうだ。

ああ、良いな、ホント。帰ったら、プー太郎に聞いてみよう。

…いや、直接一大橋に聞いた方が絶対に良いか。

「では、先輩!椅子に座って下さい。」
「あ、ああ。なんだ、もうケーキ出すのか?」
「紅茶淹れますね。アッサムとダージリン、どっちにしますか?」
「悪い、よく解らん。」
「ミルクティーとストレートならどっちですか?」
「…ミルクティー。」
「じゃあ、アッサムにしますね。」

生まれて初めて紅茶の話をした気がする。
こいつは、そういう話しが似合うな。

キッチンが隣接してるから、一大橋がてきぱきと紅茶を淹れたり、皿やらを用意しているのが見える。
「俺も何か手伝おうか?」
「座ってて下さい。今日の先輩はお客様ですから。」


で、一式揃った訳だが。














「  Happy Birthday !!先輩! 」





「煤I!!!」



何処から取りだしたかクラッカーの爆発音。


       ああ、そうか。

諸事情ってこれの事か。
   だから今日から祝わないと駄目だったのか。

イブだもんな、今日。


「先輩、自分の誕生日忘れてたでしょう?」
クスクス笑いながら、今度はプレゼントの箱まで取り出した。
だから何処に隠してたんだ?
いや、それより。

「なんで俺の誕生日知ってんだ!!??」
「知ってますよ、だって協会からの、あ。これ以上はネタバレに。」
またネタバレか!
何、口元に人差し指を当てて可愛くウインクしてんだよ!
禁則事項か!何処の未来人だ!

「はい、先輩。どうぞ。」

…でも、まあ。祝ってくれるのは嬉しいな。
あ、そうか。だから今日早く帰って来いだの、今日は何処にも行くなとか五月蠅かったのか、あの親は。
毎年、五月蠅く祝ってくれてんのに、すっかり忘れてたな。
いや、これは何もかも、あのマジカルマスターになれとか言うごたごたの所為でなぁ。
「…先輩、受け取って頂けませんか?」
「ああ!?いやいやいや!有り難く受け取る!」

「開けてもいいか?」
「はい、どうぞ。」

うわ、なんかマジで嬉しいかも。
こんな風にサプライズで祝ってくれて、ちゃんとプレゼントまで用意して。

「  あ  。  」




「  財布  と、パスケース  …  。」


あの、その。え、ええと。

「も、貰ってもいいのか…?」
「はい、先輩への誕生日プレゼントですよ。」
「で、でもこれ。その…、た、… 高かった、だろ…?」
「うふふ。」

いや、うふふって!うふふって!!
これ、この財布とパスケース、なんか俺でも知ってるロゴマークがついてるんですけど!?
何ですか、今時の高校生はブランドの財布やら簡単に買えちゃうんですか!!

「先輩、お財布欲しいってぼやいてたでしょう?  それとも、…気に入りませんか?」
「っなわけ無いだろ!めちゃめちゃ嬉しい!」

「良かった。」


「…・・やっぱ変な奴だな…。」
「そんな事ないですよー。」
「でも、本当。…有難う。」
「どう致しまして。」

マジで、これ大切に使おう。
失くさないように。
一大橋の誕生日は祝う事決定だな。

「先輩、ケーキもどうぞ。」
「あ、悪い。」
ケーキまで用意してくれて。
…って、これはさっき一緒に選んだやつだった。
でも、勘定かんじょうは一大橋が持ってくれたから、やっぱりこれも感謝せねばな。


「…うま。」

なんか、やけにケーキが美味い気がする。
そこまで甘党じゃないんだけど。
なんか、幸せだな。

こんなに楽しいって言うか。なんつーか。嬉しい?誕生日祝いって、何年ぶりかな。
イヴ生まれだから「聖夜」なんて名前、小っ恥ずかしくて、なんか嫌だったんだけどな。
しかも、誕生日プレゼントと、クリスマスプレゼント一緒にされるし。最悪だ。



「一大橋。」
「はい。」

「ほんと、 ありがとう な。」
「はいっ。」




「あ、ケーキ食べ終わって一息付いたら。」
「ああ。」

「明日のクリスマスパーティーの準備ですよぉ。」


「・・…ですよねー!!」










Merry Christmas !






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番外編万歳!(笑

2008/12/23