満月の夜。




満月の。
朱い満月の。夜。
冷たい夜風に、ガタゴト障子が揺れ。
姫様は、その音で目が覚めたのです。
上体を起こし、朱い満月の光りが障子に透き通っているのを見つめました。
すると障子に、ぴょこぴょこ動く影が見えたのです。
耳を済ませば、何か聞こえます。

がやがや、ワイワイ。

やんややんや。

わー、わー。

何だか楽しそうな声。
姫様は、そっと、ほんの少しだけ障子を開けました。
隙間から庭を見れば、何と、
小さく可愛いらしい妖怪達が宴会をしているではありませんか。

「まあ、何と面妖な。」

姫様はその隙間から、じぃっと妖怪達の宴会をみていました。
見れば見る程面白い。
小さな可愛いらしい妖怪達は、手に手に杯を持ち、飲めや歌えやの大はしゃぎ。
その中の一匹に、手に桜の枝を持ちくるくる踊っている妖怪がいます。

「いと可愛いらしき妖怪じゃ」

姫様はその妖怪のくるくる回る踊りに、すっかり心を奪われ、
ただひたすら、その妖怪の踊りをみていました。

くるくるくるくる。

くるくるくるくる。

妖怪は回り続けます。

くるくるくるくるくるくるくるくる。

くるくるくるくるくるくるくるくる。

桜の枝から、花びらが全て落ちても。

くるくるくるくるくるくるくるくる。

足の爪がはげ、肉が弾けても。

くるくるくるくるくるくるくるくる。

ずぅっと、回り続けるのでした。